ハイジの山歩記

 山域/山行名他  シャモニ/ヴァレー・ブランシュ氷河トレッキング  (2006/08/28)
メンバー  A氏、I氏、ちー隊長、ハイジ + ガイド1名+現地係員Sさん
  
 概 略
 
 シャモニ滞在3日目。
 モンブラン登山をするにあたり、高所順応を兼ねて山岳ガイドと共に氷河トレッキング。

 前夜ミィーティング時にも言われていたのだが、風が強く天気予報が悪いので、本来
 ならば氷河を北(フランス)から南(イタリア)へ縦断する予定を、コース途中までで起
 点のエギーユ・デュ・ミディ(3842m)へ戻るプランになる。

 引き返し時に急激に天候が悪化したため、ガイドさんから【ハリー、ハリー!攻撃】を
 受けることに・・・(^^;

 
 8/28 曇
 (一時暴風雪)    
 
 エギーユ・デュ・ミディ 8:00〜ヴァレー・ブランシュ氷河〜11:05 エギーユ・デュ・ミディ

 7:30 ミディ展望台行きロープウェイ乗り場前に集合。
 どんよりとした曇り空。
 
           ロープウェイ中間駅(2309m)より望む

    ↓エギーユ・デュ・ミディ(3842m)    ↓ドーム・デュ・グーテ(4304m)
 
               ロープウェイ中間駅より望む

 ミディ展望台方面は上空が灰色の雲に覆われ、↑↓ご覧のようにモノクロ写真状態。

                        ↓エギーユ・デュ・ミディ(3842m)
 
              ロープウェイ中間駅より望む

 展望台終点直下、ノールの岩壁が凄い迫力で迫ってきた!
 よくこんな場所にロープウェイやゴンドラを架けたものだ。
 7:50 ミディ展望台着。
 標高1000m位から一気に3842mの富士山より高いところへ運ばれたので、ロープ
 ウェイを下りると寒さで急にトイレへ行きたくなる。
 Sさんにその旨告げ、ハイジだけトイレへ。

 急いでトイレを済ませ、高所に居る事を忘れて(^^;小走りで皆の元へ。
 皆は一足先にハーネスやアイゼン装着を始めていたので、ハイジも急いで支度する。
 出発前から焦り気味(^^;;

 8:00 トンネルを抜け、柵を乗り越え氷河への出口へ。
 Sさんを先頭に、A氏、I氏、ちー隊長、ハイジ、ステファンの順にロープで結ばれなが
 ら出発。(ガイド比率 1:5は節約のたまもの???)

 いきなり急なナイフリッジの下りは、ネットの記事で予習済み。
 左手はシャモニの町まで高度差2800m、右手はコル・デュ・ミディまで高度差300m
 落ち込んでいるそうで、高度感満点のスリリングなルートだ。
 ○○と煙は高いところが好きの例えに漏れず、ハイジに恐怖感はない(^^)v

 昨夜も山の上は雪が降ったようで、アイゼンを利かせながら慎重に下るところが、
 積雪30cmくらいのところを、一歩一歩もぐり気味に歩を進める。
 サラサラの雪なのでアイゼンは役に立たず、微妙にバランスが取りづらい。
 それでも皆サクサクと進んでいくので、最後尾のガイドのステファンは上機嫌だ♪
 『good, good, good alpinist!』  わ〜い褒められてるぞ〜(^^)v

 ナイフリッジが終わり斜度が緩くなったところでステファンが先頭になり、以後ハイジ、
 ちー隊長、I氏、A氏、Sさんの順に続く。
 A氏(60代半ば?)とI氏(60代前半)は共に一人参加で、若い頃から継続的に山を
 登ってこられており、今山行ではマンツーマンガイドにせず、お互いをザイルパート
 ナーとしている。

 8:30 氷河の大地、ヴァレー・ブランシュ着。
 ステファンが山名を教えてくれ、それをSさんがカタカナ語に訳してくれる。
 現地係員と書いたSさん(30代前半)だが、日本の山岳ガイド資格ももっており、前職
 はニュージーランドでスキーガイドをしていたそうだ。
 今山行へは、ツェルマットでトレッキングツアーを終えた足で、私達を空港で出迎えて
 くれたのでした。

      ↓マッターホルン        ↓グランドジョラス ↓ダン・デュ・ジェアン
 

 山頂部は雲の中なのが残念だが、それでも初めて目にする景観にハイジは感激!
 本物を見ているのだが、変な表現だが、自分の目で見ていることが信じられない。
 今、目の前にある光景は、過去に雑誌や、パンフレットや、インターネットで見たこ
 とがあるだけで、数年後に自分が肉眼で、しかも登山者として見る事になるなんて!

 

                                           ↓マッターホルン
 

 ↑画像3点共、モノクロではありません(^^;
 イタリアやスイス方面は晴れているのに、フランス側上空はおどろおどろしい雲の帯。

 

 休憩というわけではないようなので、写真を撮らせてもらい出発。 

 緩やかに下り基調のルートを行く。
 ステファンは少し長めにロープを出し、クレバスに気をつけながらルートを取っている。
 30分ほどするとコスミック小屋が見えてきた。

         ↓コスミック小屋               ↓ミディ展望台
 

 モンブランツアー申し込み時にAG社にて、担当のK氏より説明を受けたのだが、八月
 下旬に登頂の場合、雪の状態(無い場合)により、グーテのルートではなくて、通称
 モンブラン三山縦走コースをとる場合があると言っていたが、コスミック小屋を見なが
 ら、そんなことを思い出していた。
 雪がないどころか、連日降っているのよね〜(^^;
 モンブランは雲の中で見えない・・・。
                           ↓エルブロンネル〜ミディ間を結ぶゴンドラ
 

 ミディ展望台とイタリア側エルブロンネルを結ぶゴンドラは、今の所動いている。
 ステファンもまだ引き返さずに歩を進めている。

 9:25 ステファンの足が止まった。
 ここから引き返すのだろうか?と思っていたら、携帯で電話をかけている。
 これからの天候やゴンドラの運行状況をきいているようだ。
 待っている間に写真を撮る。

 
                  進行方向方面

 来た道の方を振り返ると↓、空はさらに暗くなってきた(^^;
 

 

 

 対照的にスイス側は明るい。                    ↓マッターホルン(雲中)
 

                            ↓モンテローザ
 
 9:30 ステファンが問い合わせたところ、これからお天気は悪くなり、ゴンドラも20分
 後には運行停止となるので、ここから引き返す。
 ステファン、ハイジ、ちー隊長、I氏、A氏、Sさんの順に連なる。

 歩きだしたそばから、風が吹いてきて雲行きが怪しくなってきた。
 緩やかな登りだが、ステファンは速足で歩を進める。
 だんだん視界も悪くなり、雪がちらついてきた。
 緩やかだが確実に斜度が増したルートを行く。
 小一時間ほど過ぎたであろうか? 速足で歩き続けられるわけもなく、ペースが落ち
 てしまうと、『hurry, hurry〜♪
  きましたよ〜 ハリー、ハリー!攻撃

 登り返すにつれ暴風雪状態に・・・。
 ステファンはますます急ぎます。

 
      青線が下りにとったルート。赤線が登り返しにとったルート  

 ハイジは息が上がる。 ステファン:『hurry, hurry!
 ハイジ:ハァハァハァハァ・・・・・・・・・
 ステファン:『hurry〜, hurry!!

 急ぎたいけど急げません、急いでいるつもりだけど、急げない・・・(^^;
 白馬大雪渓の一番斜度が急なくらいの所を、サラサラ新雪状態の所を登る。
 足は膝まで雪に埋る。一歩一歩、一生懸命に歩を進めているのだが・・・。
 ステファン:『hurry〜, hurry!! hurry up!!!

 汚らしいが、鼻水は垂れっ放し状態(^^;、ハァハァハァハァ・・・・・・・・・
 蹴りこまなければならないのだが、そんな余裕や余力などあるはずもなく、進めた
 足は空まわり・・・。それでも止まるわけにはいきません。一歩一歩進むのみ。

 ステファンは『hurry〜, hurry!! hurry up!!!』を連呼しながら進む。
 ハイジは呼吸が乱れに乱れ、鼻水で口呼吸しかできず、苦しくてたまらない。
 急げといわれても急げないけど、気力だけでなんとか頑張り止まらないよう進む。
 足を出しながら、MINMINさんのモンブラン登頂記を思い出す。
 何度も読ませてもらい、大変参考になりましたm(_  _)m

 モンブラン登頂ではなく、高度順応の段階だが、【ハリー、ハリー!攻撃】を体験
 し、本場アルプスガイド登山の厳しさを身をもって知ることとなった。
 ハイジは体育会系部活経験がなく、シゴかれた経験もなかったので、強制的に急が
 されるこのような経験もなかったわけで・・・(^^;;;
 MINMINさんの体験記を読んで心して臨んでも、このようなありさまで・・・(^^;;

 ステファンは引っ張りあげようにも、5人も連なっているのだから引っ張りあげられ
 ませ〜〜〜ん(^^;

 ハイジは懸命に足を出す。たまにペースがかみ合わず後に引っ張られて仰け反りそ
 うにもなる。I氏もA氏も大変だったようで、ちー隊長は自分が頑張らねば(後続の人
 を引っ張る)ハイジのロープを引っ張ってしまうので急斜面ではほとんど四つん這いに
 なりながら頑張ってくれたそうだ。

 時折見上げると、風雪の中、ナイフリッジが見えてきた。あと少しだ。
 ハイジがあまりに激しい呼吸だったためか、ステファンが止まった。
 ステファン:『Do you want to go to Mont Blanc!?
 ハイジ:Ye〜s!! I want to go to Mont Blanc!!! ハァハァハァハァ・・・

 ステファンは再び歩き出す。『hurry〜, hurry!! hurry up!!!
 ハイジ:ハァハァハァハァ・・・ 鼻水をオーバーグローブで拭う(^^:;

 時間にしたら20〜30分くらいのことだったのかもしれないが、とても長く感じた。
 やがてナイフリッジになり、トレースができているので呼吸も楽になる。
 ふぅ〜〜〜、ヤレヤレ(^^;;;

 11:05 トンネル入口の柵を越え到着。
 ステファンと握手を交わす 『メルシー ボ〜ク♪』

 ロープを解いて、展望台テラスへ向かう。
 世界で一番訪れる人の多い見晴台のひとつといわれているが、モンブランは雲の中。
 ついてないなぁ〜(; ;)

         ↓ドーム・デュ・グーテ
 
                         ↑ボソン氷河

 
     モンブランからベロのように出ているボソン氷河とシャモニの町

 体がすっかり冷えてしまったので、皆で展望台レストランへ寄る。
 
後 記  
 18:00よりスネルスポーツにてミィーティング。
 A氏&I氏のガイド、チェリーとの顔合わせ。名前の響きと大違いの大男!(^^)

 神田さんによると、明日明後日の天気予報も悪く、グーテ小屋前はすでに積雪110cm
 とのこと。連日の降雪で雪は融けず、よってモンブラン登山は中止となる。
 ヴァレー・ブランシュ氷河トレッキングで【ハリー、ハリー!攻撃】を体験し、ラッセルす
 ることを想像すると(とても無理なので)、ハイジは登頂中止となっても未練はなかった。
 メンバー諸氏も本日の経験で納得!

 明日はフリータイムとし、明々後日からお天気回復予報なので、代替案にて明後日
 出発し、イタリア国内最高峰である【グラン・パラディゾ】を登ることに。

 余談ながら、モンブラン登山ツアーに参加するにあたり、スネルスポーツの神田さんか
 ら信じられないような話を伺う。(ブログ:【信じられない話】参照)
 


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